「陸くんはぁー、ただのわんわん。
彩加ちゃんはぁー、なんか、熱血系ギャル!かなっ?」
ひよりの頭をポンポンしながら、きゃはっと無邪気な悪女スマイル。
「おい、どういうことだコラ!」
「そうだよ、なにその雑に失礼な言い方!」
2人が私に詰め寄って、ギャーギャーうるさく喚き始める。
ひよりが盾になって両手を広げ始めるから、うるささがより悪化した。
それをぽかんとして見ていた御手洗が、呆れたように息を吐く。
運転席の窓を半分閉めて、隙間から目だけを私に向けた。
「では、そろそろ行きます。なんか大丈夫そうなので」
どこが?テキトー言ってない???
なんて悪態もつけないまま、窓ガラスが全部閉まっていく。
静かなエンジン音がして、なんの躊躇いもなく御手洗の運転する車が駐車場から出て行ってしまった。
「瑠奈ちゃんっ一緒にお家まで行きましょうっ」
「だめだめ!ひより!瑠奈に近づいたら怪我するよ!」
「そうだぞ!コイツはすぐ人をおちょくって遊ぶ悪魔なんだからなっ!」
2人に止められても、ひよりは私の腕に絡みついて離れない。
(友達、か……)
私は嫌われ者の悪女なのに。
シナリオの存在すら知らないひよりに、これは間違っているとも言えず。
今日のところは背中に喚き声を聞きながら、腕にかかるふわりとした体重を受け止めておくことにした。



