18:00。
再びアオバケの舞台、海辺のシェアハウスに帰還する。
1日離れただけなのに、なんだろうこの懐かしさ……。
都会の喧騒から離れた、遠くに聞こえる静かな波の音。
青い空に溶け始める夕陽色。
まだ向こうに小さく見えるだけの朱と青が混ざる光を受ける真っ白な家に、おかえりって言われているような気がした。
「じゃ、瑠奈さん。残りの期間も頑張ってくださいね」
「うん、ありがと。御手洗」
車を降りた瞬間から、小さく息を吸って私の顔を描き変える。
“素の香月瑠奈”じゃなくて“あざとい悪女の瑠奈”に。
「あーっ瑠奈ちゃんっ
おかえりなさいですっ」
車のドアを閉めるが早いか、向こうから明るいマシュマロボイスが迫ってくる。
道中キャリーケースを放り出してきたひよりが、満面の笑顔で走ってきた。
「あ、ひよりちゃん。電車組も今着いたところだったんだねぇ」
ぼふっと抱きつかれた反動で、片足が一歩下がる。
車を出そうとしていた御手洗が、窓ガラスを開けて顔を覗かせた。



