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「この廃墟には、数年前に住み着いた悪魔が――……」
暗い空間を小さめのスクリーンの光が不気味に照らす。
(相変わらず雰囲気は抜群なのに、ストーリーは意味不明だな)
ミステリーなのかホラーなのか、かと思えば突然アクションが始まる支離滅裂さ。
映像美や役者さんの演技の巧みさはいくらでも目に留まるけど、ストーリーはまるで頭に入ってこない。
だから、余計な思考が入り込む隙ができる。
(……爽真は、今何してるのかな……)
ていうか、普段何して過ごしてんだろ。
淡白で作り物みたいなあの顔立ちからは、何をする姿も想像できない。
料理得意だし、お菓子作りとか?
スポーツできるから、草野球とか。
(……ふ、どっちも全然合わないわ。)
全然可笑しくもないシーンで、ふっと笑みが漏れる。
それを気取って、紫苑の目がこっちを見た。
(友達とかいるのかな。あー、でもそっか。美玲。
一緒に遊んだりするのかも……)
自分で勝手に心を抉って、ちょっとだけ表情が曇る。
そんな時。
紫苑との間に置いていた手を、ひんやりとした感触が握ってくる。するりと、指を絡め取られた。



