台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


ロボットのように、単調に息継ぎなしで御手洗は言葉を並べる。
爽真のマネージャーは、余計に眉の皺を強めた。

「フジイ……?あ、いえ。すみません。聞いたことのない社名だと思いまして。」

少しの悪気もない口調に、爽真の眉が僅かに寄る。
爽真を背にするマネージャーは、そんな彼に気づかない。

「私はアークプロダクションのマネジメントを担当しております、三木(みき)と申します」

「しがない弱小事務所ですから。
大手さんの目に留まらないのは仕方のないことです」

大人の会話が事務的にラリーする。
その背中越しで、私と爽真は目を逸らしあっている。

お互いに何となく気まずい、話したくても話せない、そんな微妙な表情で。

御手洗の目が、そんな爽真のことを捉える。
そして、背中越しに私の雰囲気も感じ取る。

この数分で、私たち以上に私たちの状況を察知したようだった。


「瀬名爽真くん、ですよね」

「……はい」

爽真が硬い表情で、重く返事をする。

「ウチの事務所は“アットホームさ”がウリでして。
瑠奈さんのアレも、保護者に向ける子どもの甘えなので多めに見てやってくださいね」


――アットホームっていうか、会社が小さすぎて不可抗力でそうなってるだけね。


物は言いようだわ、とスンとする。
だから、後に続いた言葉をなぜわざわざ爽真に言ったのかも考えず。

三木さんも、「はぁ?」って解せない顔をしていた。

キリキリしていた爽真の表情が、ほんの少しだけ解除される。

納得した、けど、納得しきれない部分もある。
そんな葛藤に悩まされているような顔だった。