8月19日。木曜日。
9:00。
今日は唯一設けられた完全オフの日。
明日の夕方まではフリーだから、私たちはみんな一度家に帰省する。
いつも賑やかなシェアハウスの中は、がらんとして静まり返っている。
そこから少し離れた駐車場に停められた数台の車に向かって、私たちはそれぞれのペースで歩いていた。
「……」
あんなに楽しみにしていた帰省日だったのに、沈んだままの気持ちが戻ってこない。
爽真のこと、ちゃんと考えなくちゃと思ったのに――
結局昨日は、寝るまで言語化できないモヤモヤと胸の痛みに支配されて、全然まとまらなかった。
かろうじて“瑠奈”のままでいながら、トボトボと1人で駐車場を目指す。
その後ろ姿を、少し距離が開いたところでマネージャーに迎えられて立ち止まっていた爽真が、今日も暗い顔で見つめていた。
「ひよりちゃんと陸くん、彩加ちゃんは駅まで送っていくからね」
一般公募組の3人が、スタッフのあとに続いてロケ車に乗り込もうとしている。
それ以外は、車の前に待機している各々のマネージャーの元へ。
私も、例外なく。
「あ。来ましたね」
もう数年会っていなかったかのような、懐かしいキツネ顔。
お堅い銀縁メガネに、見ているだけで暑苦しくなるカッチリスーツの棒立ち人間。
ジリジリと揺れるアスファルトに浮かぶその姿に急に夢から醒めたような感覚になって、いろんな感情が解けた気がした。
9:00。
今日は唯一設けられた完全オフの日。
明日の夕方まではフリーだから、私たちはみんな一度家に帰省する。
いつも賑やかなシェアハウスの中は、がらんとして静まり返っている。
そこから少し離れた駐車場に停められた数台の車に向かって、私たちはそれぞれのペースで歩いていた。
「……」
あんなに楽しみにしていた帰省日だったのに、沈んだままの気持ちが戻ってこない。
爽真のこと、ちゃんと考えなくちゃと思ったのに――
結局昨日は、寝るまで言語化できないモヤモヤと胸の痛みに支配されて、全然まとまらなかった。
かろうじて“瑠奈”のままでいながら、トボトボと1人で駐車場を目指す。
その後ろ姿を、少し距離が開いたところでマネージャーに迎えられて立ち止まっていた爽真が、今日も暗い顔で見つめていた。
「ひよりちゃんと陸くん、彩加ちゃんは駅まで送っていくからね」
一般公募組の3人が、スタッフのあとに続いてロケ車に乗り込もうとしている。
それ以外は、車の前に待機している各々のマネージャーの元へ。
私も、例外なく。
「あ。来ましたね」
もう数年会っていなかったかのような、懐かしいキツネ顔。
お堅い銀縁メガネに、見ているだけで暑苦しくなるカッチリスーツの棒立ち人間。
ジリジリと揺れるアスファルトに浮かぶその姿に急に夢から醒めたような感覚になって、いろんな感情が解けた気がした。



