台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


ドキンと、胸に嫌な音が混じる。

画面に夕暮れの神社の景色が映って、この日のことが心の中で甦ってきた。

人混みに押されて、美玲が爽真の腕に手を添えて歩いていたあの姿。

爽真は無表情で、でも何か感情を目に宿していた気はしていて。

『爽真くん、射的やろうよ』
『……いいけど』

“あの時、爽真は美玲への照れを隠すために無表情になっていた”
そんな私の主観を証明するかのような、仲睦まじそうな2人が画面の中にいる。

理由もわからずズンと心が沈むけど、それを爽真に悟られちゃいけないと思った。


映像は、他のペアのデートの様子も映し出す。


ここだけは、私と紫苑のデートも。

『勝負ね!紫苑くん。
どっちがいっぱい掬えるか』

ぽしゃん。

『『あ』』

金魚掬いの屋台にしゃがみ込んで、距離の近い私たち。


『なんで紫苑と楽しそうにしてたんだよ』
『そ、そっちこそ!美玲と……』


花火大会の深夜――爽真の問いに答えなかった代わりに、映像が答え合わせをしているかのよう。


無表情に映像を眺めていた爽真の顔から、表情が更になくなる。

左耳に刺さるイヤホンを摘んで、外すか否か迷っているような動きをした。


――そんな沈む私たちの横顔を、紫苑は横目に観察している。


私と爽真の間にできたわずかな亀裂に、トドメが刺さる瞬間を見定めているかのように。