モヤモヤを払拭できないまま場面が変わって、浴衣選びのシーン。
花火大会が、今話のメインシーンってことみたい。
『爽真くん。私の浴衣、どれがいいと思う?』
『さぁ……どれでも』
衣装ラック越しに、爽真と美玲のカットが映る。
1人で隅っこに行こうとしてた爽真を見兼ねて、美玲が誘ったという前置き付きで。
「もう」と頬を張らせた美玲が、爽真を先導してラックにかかる浴衣を端に寄せていく。
寄せられた浴衣を興味なさそうに眺めていた爽真が、唐突に一点に目を止めた。
何かに気づいた紫苑の目が、ひく、と細まる。
爽真は、相変わらずの素知らぬ顔。
そして私は、ちょっと驚いている。
カメラの被写体深度で少しぼやけているけれど――
見覚えがあるから、わかる。
その目線は、私に選んだと言っていた藍紺色の浴衣を射止めていた。
(ホントに美玲のついで……)
なんて思うのに、あの無機質な爽真の頭の中に私が浮かんだのかと思うとなんかちょっとくすぐったくて。
一瞬で過ぎてしまったそのシーンが、頭の片隅に残り続けた。



