「……えと。返して、」
「はい、瑠奈ちゃん。どーぞ」
差し出した手に、あっさりとイヤホンが返ってくる。
意味がわからない。何のためにとったの?
「……ありがとー、紫苑くん♡」
謎行動の気持ち悪さに疑心暗鬼になりながら、右耳をイヤホンで塞ぐ。
左用のイヤホンも手に取ると、紫苑が「あ」と声を上げた。
「そっちは爽真が使っていいよ」
え。そうなの?
前回はあんなくだらない戦争起こしてたくせにやけに気前が良くて、爽真も私も怪訝な顔になる。
「別に何もないって。俺はさっき観たからってだけ」
「……そっか?」
爽やかスマイルの裏が全く見えなくて、曖昧に微笑んで頷く。
「ふーん」
爽真も気が変わらないうちにと、私の手から速攻でイヤホンを奪って自分の左耳につけた。
「さ、観よ観よ〜。あ、瑠奈ちゃん、字幕はつけてね?」
「……はぁーい……」
観たってことは、内容知ってるってことだよね。
……何か企んでる?
本当の狙いはこっちだったんじゃないかって、少し嫌な予感がした。



