「じゃ、また夜にね」
満足そうな顔をした紫苑が、真っ直ぐにドアを目指す。
ドアを開け放ったと同時、新たな段ボールを抱えた彩加が入ってきた。
「あれっ?紫苑くん、まだいたの?」
「うん、掃除機探すのに手間取っちゃって」
「あー、ごめん!さっき、場所移動させたんだ」
大丈夫、と軽く返して紫苑の姿が見えなくなる。
雑に段ボールをその場に置いた彩加が、「あれ?」という顔をした。
「てかさ。瑠奈、掃除機の場所知ってるでしょ!言ってあげなよ、めちゃくちゃ探させてんじゃん!」
……言ったよ、最初に。
でも聞かなかったことにされたの。
なんて言えないから、小悪魔っぽく笑って誤魔化す。
「ん?なんか顔赤くない?」
「……。瑠奈ってデフォルトで頬ピンクなの」
「……まあ、もういいや……」
紫苑の真意もわからなくなって、少し思考が鈍ったまま。
シェアハウスだけが片付いて、今日も夜が訪れようとしていた。



