肩にぶつかった衝撃に、びっくりしたのは一瞬だけ。
そこにころんと凭れかからせるように、爽真の腕が私の頭をすっぽりと抱え込む。
「ちょっと寝れば」
「……、んー……」
飾らない石鹸の香りとぬるい体温が甘やかすように眠気を誘って、頭が意識を手放していく。
(あ、美玲のこと。聞くの忘れた……)
まぁ、いいか。
次、2人になった時に聞けば。
数秒して、呼吸が深い寝息に変わった。
――眠る私の額を、爽真が優しく指でなぞる。
眉の形を辿って、目元を撫でて。
柔らかく手の甲を頬に当てた。
「……おやすみ、瑠奈」
私の肩に移動してきた手が、躊躇いもなく私を抱き寄せる。
この瞬間だけは、何も隠すこともせず。
優しくて、愛しい時間に満たされる。
相手の言動に揺らされて、救われて。
私たちは説明も弁明もしないまま、
全てが曖昧でも、
結局許し合ってしまうから。
――だから、ずっと気付けない。
その甘さが、自分たちの首を絞め続けているんだって。



