「爽真を見ちゃうと、私の演技が鈍るんだよ……!」
私の余裕のなさが、静かなのに張り上げたように荒ぶった口調に滲む。
言い訳のくせに切実で、その痛みが表情にも現れた。
「私は、私に与えられた役を完璧にこなしたいのに!
爽真がいると全部崩れる。だから見ない。
……ただ、それだけ」
いつのまにか爽真のTシャツの裾を握りしめていた私の手が、トーンダウンしていくのに合わせて緩んでいくのに、離れない。
少し疲れてしまって、爽真の肩口に額を押し当てて俯くと、長い黒髪がさらりと耳元を撫でていった。
――肩に置かれた爽真の手が、躊躇いがちに肩口を辿って、私の頬に伸びてくる。
「っ、」
その指先が、そっと確かめるように頬に触れた。



