バランスを崩した足が、一気に爽真との距離をなくす。
トンとぶつかって触れ合う、爽真と私の体。
花火大会の後のあの日のように、不格好に。
爽真の肩口に、私の額が寄りかかった。
「アイツと2人で何を話した」
低く落ちた問いに、ドクンと重く胸が鳴る。
何も言えない、答えられない私に、爽真が強く歯を噛んだ。
「なんで俺を、少しも見ようとしないんだよ」
私の手を握る爽真の手が、切ないほど強くなる。
躊躇いなく私の背まで上がるもう一方の手は、
触れる瞬間にはやっぱり自制して、躊躇って、
それでも、と私の肩にそっと着地した。
その瞬間、胸の音が痛いくらい強く狭くなる。
この鼓動に、このまま飲み込まれてしまいたい。
そう思うのに酔い切れないのは――
爽真に隠し事があることと、
あの子の影がチラつくからで。
“紫苑と契約したんだよ。だから爽真を見なかったの”
なんて、馬鹿正直なことは言えない。
だから、違う言い訳をする。
今の私が唯一爽真にあげられる、
真実だけど偽りの、嘘をつくための本当。



