深夜0:00。
今日もいつも通りではないけれど、とりあえず行かなくちゃいけない。
しかも、昨日より気を引き締めて。
なぜなら、“悪女の瑠奈”じゃない私を紫苑に晒して、交渉をしてしまったから。
紫苑のことだ。
“昨日は素を見せてくれたのに”
……とかなんとか言って、私と爽真を揺さぶってくるはず。
わざわざ水曜まで、なんて条件付け足したんだもん。
そのくらいはやる。
でもできれば昨日のやりとりは、爽真には伏せたい。
“昼の私を差し出した”なんて知れたら、確実に心配をかけるから。
あーきたらこう返す、こーきたらああ返す、
と、頭の中でシミュレーションしながらリビングに降り立つ。
テラスに続くガラス戸のカーテンを開け放ち、月明かりに照らされたそこには、爽真1人だけがいた。
「…………なんで?」
拍子抜けして、かくんと肩の力が抜ける。
夜だから明るく感じる柔い光を背に受ける爽真は、冷たさを感じる無機質な無表情。
初日の深夜に偶然出会したあの時と同じ、
誰も寄せ付けない鋭利さを内包しているような、そんな危うい美しさがあった。



