(だめだよ爽真。美玲が怖がってるじゃん!)
爽真は美玲を好きかもしれないのに。
怖がらせるなんて、あってはならない。
咄嗟にネット際まで駆け寄ると、そのまま網にしがみつき、眉をきゅっと寄せて爽真を見上げた。
「そっ、――爽真くんひどいっ
紫苑くんのこと、いじめないで!」
“ほら、自覚して。怖い顔になってるよ。
美玲を怖がらせちゃダメだよ”
――って、爽真なら受け取ってくれると思って。
爽真の目が、私の顔を間近に捉えてハッとしたように見開く。
ネットに引っ掛けた私の指に爽真の手が伸びかけて、持ち上がらないうちに自制してそこに留まった。
少しは揺らいだように見えた爽真の目が、すっと冷えていく。
さっきまで燻っていた感情が、奥の方に押し込められて。
代わりに、何も映さないみたいな色だけが残った。
「戦略だろ。俺の勝手。邪魔するな」
突き放すようにそう言って、ネットから爽真は離れていってしまう。
結局、爽真の攻めに黙らされる一方で。
爽真×美玲ペアが優勝して、今日のミッションは幕を閉じた。



