「爽真くん、パス!」
甘いボールは大体美玲が拾って、爽真へと繋ぐ。
高く上がったボールが太陽に吸い込まれていく錯覚をしてる間に、爽真が鋭くそれを叩きつける。
すぐに拾って返す紫苑。
返ったと思ったら、速攻で逆サイドに飛んでくるボール。
右端、左端、今度は右奥……
とにかく紫苑が、爽真に走らされている。
「瑠奈ちゃん!それ、取れる!?」
「えっあっ……うんっ」
私も少しはフォローしようと走り回るけど、そんなの少しの足しにもならない。
容赦ない爽真の猛攻に、翻弄される一方だった。
――滑り込みレシーブで砂がついた自分の頬を、紫苑が息を切らせながら拭う。
ネット越しにそれを見下ろす爽真は、砂粒ひとつついていない綺麗な状態で氷のように冷淡な視線を向けている。
紫苑に対しての感情を隠すこともしない爽真の横顔に、美玲が不安そうな顔をした。



