「うんっ♡今日はこれが嬉しくて、早く伝えたくて誘ったの。だから、来てくれてありがとー♡」
「うん、こちらこそ」
――そう締めて、カメラのランプが消える。
すでに高い夏の日差しにしっかりと晒されたカメラマンが、“なんでわざわざこんな遠いところ?”って疲れた顔をしてさっさと帰っていく。
残ったのは、私と紫苑。
鉄壁の王子様スマイルが、ストンと落ちて黒い微笑に変わった。
「俺が使った手、真似したでしょ。瑠奈ちゃん」
「……あは、バレちゃった♡」
――私の狙いは、撮影が終わってシェアハウスに戻るまでの空白の時間。
私の仮面を剥がそうとした紫苑が最初に使った手を、今日は私が利用してやるのだ。



