……でも、私は見ないふり。
“瑠奈”でいる時は、いつだって紫苑だけを映さなくちゃいけない。
今は特に、そうすべきだから。
「明日。朝ごはんの後でツーショットタイム、いいかなぁ?
瑠奈、紫苑くんと2人っきりで話がしたい」
“あなたが興味を持っているのは私でしょう?”
“なら、私だけを見て”
――ツーショットタイムを求めた意図を、紫苑なら汲んでくれるでしょう?
私が言葉を放った瞬間、爽真が打ちのめされたみたいな顔になる。
反対に、紫苑の目には楽しいものを見つけた時の輝きが戻って、口元が妖しい笑みを浮かび上がらせた。
「もちろんいいよ。
瑠奈ちゃんのお誘いなら、喜んで」
紫苑がぐんと、私との距離を詰めて微笑む。
「やった♡約束ね♡」
――その日はもう、それで終わり。
爽真が傷ついて見えたのも、あんなにいてもたってもいられなかった自分の心も、一旦全部端に置いて。
爽真と、深夜0時のあの場所を守るためだけに、
私は頭を働かせる。
待っててね、爽真。
私が必ず、取り返してくるから。



