さっきまであんなに沈んでいたのに、胸がドキドキして止まらない。
“世間に受け入れられる悪女”
今までみたいなラッキーパンチじゃない。
私が意図を持ってやった演技が、初めてちゃんと結果になった。
(どうしよう、嬉しすぎる……)
込み上げそうになる本気のにやつきを、口元を押さえて我慢する。
『空気読まずに場を掻き乱すクラッシャー。完全な嫌われ者。
それが君に依頼した仕事なの』
巻さんにそう言われた日から、私は爪痕を残して散るつもりで悪女を演じてきたのに。
悪女になった私が、まだ夢を掴める希望が見えた気がして。
ドキドキが、指先まで波及する。
胸がいっぱいで、ちょっと息が苦しい。
頭の中は、爽真でいっぱい。
(はやく、はやく話したい)
だってこれは――
爽真との約束のおかげで掴むことができた希望だから。
「あぁ〜……もう最後なんですね」
浮かれた頭に、ひよりの残念そうな声は届かない。
小さな指が【そうま×みれい】をタップして、
私は有頂天から奈落に突き落とされる。



