カチャカチャ、ジュー……とおしゃれなリビングに響く家庭的な音。
香ばしいバターやウインナーの匂いも立ち込め始めて、朝食がテンポ良く出来上がっていくのがわかる。
そこに混じるのは、楽しそうな美玲と爽真の会話。
「爽真くん、料理上手で尊敬しちゃうな。
今度教えて」
「気が向いたらな」
「あ、それ、教えてくれない人が言うやつだ」
――その画角の外、テレビ前のソファで私は悪女の“瑠奈”の仮面を被ったままテレビを観ている。
心の中は、なぜかぐちゃぐちゃ。
面白くない。イライラする。
そんな感情と、
私は正しく動いた。
爽真も美玲も同じ。
恋リアっていう、舞台を演じてるだけ。
そんな理性が、ずっとせめぎ合っている。
(爽真と美玲、自然な会話が成立してない?
紫苑と美玲の会話は上辺だけだったのに)
何が違う?
どうして爽真相手だとそうなるの?



