私が待ち合わせ場所に行くと、もう蒼は来ていた。
まだ5分前。
私は心の中で「間に合ってよかった」と一息ついた。
「あ、蒼ー!お待たせ。待った?」
私が声をかけると、蒼は眺めていたスマホをバックにしまい、目線を私に移す。
「ううん、俺も今来たとこ」
蒼はそういうと一歩一歩進んで行った。
蒼の後ろをついて電車に乗り、歩いていくと……ついたのは大型ショッピングモール。
ついて、中にはいると蒼が腕時計を見ながら言った。
「もう12時か……腹減ったな」
確かにお腹減ったなあ……。
「桜庭さんは何食べたい?」
蒼が聞いてくれる。
「んー、パスタ!」
私はパスタが大好物。というかイタリア料理全般大好き!
「オッケー。じゃあ、このお店に行こうか」
蒼は近くの柱についていたレストラン街の地図を指差す。
え、私のいきたいお店に行ってもいいの?
「うん!やったー!」
「桜庭さん、パスタ好きって、言ってたよね。小、5の時くらいに」
え、小5っ⁉︎
2年前のことも覚えてるの?
すごいっ……!
「そんなこと言ったけなあ。でも、私ほんっとにパスタ好きなの」
「そうみたいだね。見ててわかるよ。目が輝いてるもん」
そんな他愛のない会話をしているうちにすぐお店についてしまう。
もうちょっと話してたかったなあ。
「何名様ですか?」
「2人です」
「では、こちらのお席にどうぞ」
今度も蒼は淡々と、大人みたいに全てをこなしていく。
椅子にすわると、メニューを広げた蒼がいった。
「飲み物何か頼む?」
「あ、うん。私はアイスティーで」
「俺もアイスティーにしよう」
そう言った蒼はドリンクを注文してくれた。
また、メニューを開いた蒼が「何にしよう」と悩んでいた。
悩んだあげく、蒼はメニューを指して言った。
「俺は、これ」
蒼の指の先を見ると、‘‘ペスカトーレ’’と書いてあった。
なんだそれ。
私にはわからない名前だった。
なんか、すごそう。
「桜庭さんは決めた?」
「あ、うん。カルボナーラにする」
「オッケー」
またまた、蒼に注文してもらっちゃった。
店員さんがパスタのお皿を持って席まで来る。
「お待たせいたしました。カルボナーラのお客様……」
店員さんは私達に問いかける。
「彼女です」
か、彼女⁉︎
「ありがとうございます……こちらが、ペスカトーレでございます」
店員さんとの間の会話は淡々と続いていく。
彼女って、この女の子って意味だよね。
そ、そうだよねっ。
少し期待してしまった自分がいた。
「「いただきます」」
蒼はそれからも、見事なフォークの手捌きで美味しそうに食事を進めていった。

