2度目の初恋、始めます♡

 ある夏休みの夕方。
 
 むわっとした空気が、肌にまとわりつく。

「暑すぎる〜っ! これ、絶対異常気象だよね⁉︎」

 ハンディファンをぶんぶん振り回しながら、私は路地を歩いていた。

 私は中学1年生の桜庭ひより。水泳部に所属してるよ!

 しかも、うちの中学は公立なのに水泳の強豪校っていう、ちょっとすごい学校なのだ。

 今日もいつも通り、夏休みの部活練習。

(ふふん♪ 今日タイム上がったし、先生にも褒められたし! 最高じゃん!)

 テンションが上がりすぎて、思わずスキップ。

 ……誰も見てないよね? とキョロキョロ確認しながら少しずつ進んでいく。

 そして最後の大通りまできた。

 
 信号待ちをしていた、その時。
 
 向かい側に立っている人が目に入った瞬間──。
 
 心臓が、ぎゅっと鳴った。
 
 ──あ。
 
 すぐにわかった。
 
 神崎 蒼(かんざきそう)
 
 私の……初恋の人。
 
 小学生のころ、何度も同じクラスになった。
 
 気づけばいつも目で追っていた、私の“太陽”みたいな人。
 
 でも蒼は中学受験をして、白鳳(はくほう)高校附属中学校という、公立だけど中高一貫の私、なんかがいけないような頭がいい学校に行った。
 
 ちなみに私はごく普通の公立・三橋中の学生だよ!
 
 そして卒業前に引っ越しも重なって、最後はちゃんと話せないまま──。

 しかも。
 
 卒業間近になってから、蒼も私を好きだったって知ったのだ。

 仲のいい、春夜という友達が教えてくれた。

(なんでそのタイミングだったんだろう)
 
 告白すればよかった。
 
 遠距離でもよかった──のに。
 
 でも、あの頃の私は怖くて動けなかった。

 何にもできなかった。