目の前が真っ暗になり、ふらりと倒れそうになると、背後から、ぎゅう〜と抱きしめられた。
その手は大きくて
でも白くて長い指で…


「…冬…?」

小さい声で、囁くと


「黙って…少しこのままでいて。」


冬は強く強く私を抱きしめると、私の涙を温かい手で拭い

そして、私の顎を右手であげると、後ろから優しく唇にキスをした。


あまりの突然の出来事に言葉を失う私に冬は。

「…春、ごめん。
忘れて…。」


慌ててテーブルに向かう冬の後ろから、私も二人の元へと向かった。


何事もなかったように、普通の顔で、秋の誕生日が終わろうとしていた。

秋、私、どうしたらいい?

私、秋の気持ちしってるよ?

冬が好きなんだよね。


すれ違う想いを乗せながら、時間だけが過ぎ去って行こうとしていた。