奇跡と呼ぶには

「...なんで?」

最初に声を発したのはるなだった。

「他に挑戦したいことができた。」

「辞めないとできないの?!」

「...ごめん」

「そんなのっ、自分勝手すぎるでしょ、っ!!」

「るな、落ち着いて」

「なんで凪沙はそんな落ち着いてられるの!?どうでもいいの?!伊織のこと!!」

「どうでもいいわけじゃないよ。どうでもよくない。」

「じゃあ、!」

「大切なメンバーだから。それが伊織にとって幸せなら私たちには止められないよ」

「うるさい」

そう言い残して部屋を出て行ってしまったるなに、掛ける言葉は見つからなかった。

そんなるなを見て伊織が苦しそうな顔をしたのに気付いた人は、きっといない。

「伊織。やりたいことってなに?グループ続けながらでもできる方法探そうよ」

「ごめん、言えない。」

「...そっか。」

驚くほどに、掠れた声が出た。

「一旦今日は解散しよ。るなもいないし、冷静になってから話し合おう。」

凪沙の言うことは、いつも正しい。