時田君と私の秘密の契約〜毎週金曜日の秘め事〜

 時田くん行きつけの飲み屋は高架下のサラリーマンが集まるような平凡な飲み屋だった。特別お洒落でもなく、女子が好みそうな小洒落た感のある綺麗な飲み屋ではないが、私はこういう気取った所のないような飲み屋の方が好きだった。

 なぜ時田くんが私の好きな飲み屋の好みを知っているのだろう⁇彼には私の好みを察知する装置でも付いているのだろうか⁇とつい疑り深い目で彼を見てしまった。
 
 「それで、何であんなキーワード打ち込んでたんですか⁇恋に勤しみたいキラキラの女子社員が打ち込むキーワードじゃないですよ⁇」

 時田くんが私を誘った原因はやはりその事だった…。昼間の恥ずかしすぎるキーワードの事を聞かれるとは当然思っていたが、まさか席に座って早々直球で聞かれるとは思っていなかった…。

 「それは…私って誰かと付き合っても一年と続かないでどうせ直ぐに別れちゃうから…いっそ自分の欲だけを満たしてくれる手っ取り早い一晩だけの相手を探そうと思ったの」

 先程届いたばかりの梅干しサワーは自分で潰して飲むのがお気に入りだ。お酒は全般的に好きだが、梅干し好きの私は、梅干しサワーとか梅酒とか、飲みやすいお酒を飲むのが好きだった。

 時田くんはこのお店に来た時当然のように私の好きな梅干しサワーを注文した。何で私の好みが分かるのだろう⁇と疑問に感じたが、同期の四人で飲みに行ったことがあったからだとあまり気にしなかった。でも思いを巡らせれば、私のお酒の趣味を、なぜ時田くんが知っているのだろう⁇
 同期の四人で飲みに行った事はあるが、彼はあまり私に興味もなさそうで、それどころか私の話す事に一々横槍を入れて私に敵意を剥き出しにして言い返してくるような、言わば職場のライバル的存在だ。

 四人で飲む時は大抵仕事の話が主で、色恋沙汰とかプライベートの話しになんて発展しない…そんな彼に私の恥ずかしい欲の話をしているなんて、昨日までの私には到底想像もできなかった…。

 「つまり…向日葵さんは、恋人を作ってもどうせ長続きしないから、手っ取り早くワンナイトだけ相手をしてくれて自分の性欲を満たしてくれる相手がいればいいわけですね⁇」

 ビールを飲んで既に少し酔っ払い気味の時田くんは気分が良くなってしまっているのかいつになく饒舌だ。確か彼はそこまでお酒が強くなかった事を思い出し、私は彼の飲みの誘いに乗ってしまった事を心から後悔した。