時田君と私の秘密の契約〜毎週金曜日の秘め事〜

 「俺はもう契約の事なんて忘れてたくらいだったよ。ごめん…俺が最初から好きだって気持ちを伝えられてたら、向日葵を惑わせて傷つける事はなかったのに…。もう契約に捉われずに普通の恋人同士になろう。秘密の関係でなんていなくていいから、これからは堂々と付き合おう。」

 首を縦に一つ振った私達はまた抱き合った。ちゃんと気持ちを伝える事は何で難しいのだろう⁇ただ普通に好きだから付き合ってほしいと言えなかっただけで、こんなにも遠回りで曖昧になってしまった。

 「私がいけないの…。恋人は作りたくないとか、ワンナイトの相手がいればいいとか、臆病なことばっかり言ってた。本当は単純に一樹が好きだっただけなのに、自分が一番都合のいい方法で自分の本当の気持ちから逃げたの。」

 私は今まで、恋をして相手を思って泣いた事なんて一度もなかった…。恋に夢中になって仕事が手につかなくなる事も、その人を思って涙する事も、今まで一度も経験したことがない事だった。

 「もうお互いの気持ちを誤魔化すのは止めよう。向日葵ずっと好きだった。俺と付き合ってください。」

 「はい…。」

 涙が出るほど人を好きになってみて思う…。恋は素晴らしいと…。ただ好きな人に好きと言うだけなのに、私達はそんな単純な一言が言えなくて拗れてしまった。私は一樹が好き。

 私達はキスをして抱き合った。曖昧な関係と契約に捉われていた時よりも、数十倍も数千倍も両思いのキスは重くて幸せな気がした…。







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