時田君と私の秘密の契約〜毎週金曜日の秘め事〜

 🎵ピンポーンピンポーン🎵

 時刻は中々遅い時間に差し掛かっていた。泣いて泣いて涙が枯れるまで泣いた私は、恐る恐るチャイムの音で玄関先まで歩いた。

 玄関口には切羽詰まった様子の一樹が立っている。

 「向日葵開けて…」

 一樹が切なそうに扉を叩きながら切なそうに私の名前を読んだ。
 
 (……どうしよう⁇私は一樹と会わないって、もう不要だって言ったばっかりなのに……)

 「帰って…。」

 その言葉を言うのがやっとだった。一樹の顔を見たら決心が揺らいでしまう…。

 「向日葵俺の話を聞いて…。向日葵に何があったか分からないけど、こんな急な終わり納得できないから…。」

 一樹の言葉にまた涙が溢れ出す。一樹の切なそうな言葉に私は胸が張り裂けそうになった。

 気が付くと私は玄関扉の鍵を開けて一気に抱きついていた。私が扉を開けたから、一樹はほっとした顔をしている。

 「良かった。開けてくれて」

 一樹が私の泣き腫らした目を人差し指でそっと拭った。泣いて泣いて涙が枯れるまで泣き続けた私の顔は、見せられないくらい酷い顔をしている。

 「向日葵何があったの⁇急にもう会えないなんて納得できる訳がないよ。何かあったなら理由を教えて。」

 下を向いてまだ泣いている私を、一樹が優しく宥めた。金曜日だけの契約とはいえ、私達はほぼ毎週会って生活を共にしているのだ。そんな一樹が私の本音じゃない言葉を信じるはずがなかった。

 「帰りに円城さんに更衣室で言われたの。私が毎週一樹の家に通ってる事知ってた…。付き合ってないのに毎週通ってるなんて変だって…。私が一樹を弄んでるって…。一樹が可哀想だって…。」

 涙ながらに話す渡す私をまた一樹が抱き締めた。一樹の胸の中でまだ私は泣いてしまい、涙が止めどなく溢れてくる…。

 「そんな訳ないだろ。向日葵が俺を弄ぶ訳ない。俺は向日葵に会えるのが1番の幸せなんだ。好きな子に会えて嬉しくない訳ないだろ。」

 ちゃんと好きと言われて、私はその言葉を聞きたかったのだと心から思った。毎週会って身体を重ねているのに、ちゃんと言葉にして言えていなかったなんて、私達は何て臆病なんだろうと笑えてしまった。

 「私も一樹が好き…。もう契約で会ってるだけじゃなくて、ちゃんと恋人同士になりたい。恋人として付き合いたい。」

 やっと言えた言葉にまた涙が溢れた。契約と名のつく曖昧な関係を止めて普通に付き合いたいと言えた事に笑みが溢れた。