時田君と私の秘密の契約〜毎週金曜日の秘め事〜

 あの日みんながいないのを確認してパソコンの画面に向かっている向日葵を不思議に思い、俺は扉に隠れてそっと見ていた。
 
 パソコンの画面に映された文字に俺は驚いた。まさか向日葵が今日だけ相手をしてくれるワンナイトの相手を探しているとは思わなかったからだ。

 もし今日向日葵を誘われなければ、向日葵が知らない誰かと関係を持ってしまうかもしれない。
 俺はそれを阻止したかった。

 「俺なら向日葵さんの望みを叶えられるかも…。」
「今夜空いてますか⁇…」

 さらっと言ったように聞こえるが、俺は意外と緊張していた。“向日葵を他の男のところに行かせたくない。“
 俺の心の中にはそれしかなかった。

 「俺が向日葵さんの性欲処理係になります。」「逃げるんですか⁇今逃げたら俺に負けた事になりますよ。」

 強引すぎる事は分かっていたが、向日葵を引き止めたい俺は、これを言ったら向日葵が一番断らない言葉が分かっていた。

 戸惑う向日葵はなぜか俺を拒否せず受け入れた。俺の事を欲する向日葵にもう行為を止めることなんかできなくて、俺は愛する人を愛おしむように優しく向日葵を抱いた…。

 行為が終わり、今日限りでこの関係を終わらそうという向日葵に、毎週金曜日に俺の家で性欲を満たす為に会う日にしようと提案した。我ながら酷い契約だと思ったが、向日葵との一緒にいられる理由があの時の俺にはあれしか思いつかなかった…。

 これが正しいなんて思わなかった。でも、“向日葵と一緒にいられるなら、性欲処理係でもいい、毎週金曜日だけでも向日葵に会えればいい。“
  
 向日葵を抱く度切ない気持ちになったけど、俺はそれでも毎週向日葵に会えれば良かった…。

 『性欲処理係はもういらない。一樹はもう私には不要なの…。』

 スマホの画面に映し出されたLINEのメッセージに頭が真っ白になった…。

 (……どうして⁇いきなり⁇……)

 考えれば考えるほど納得できず、向日葵に何かあったとしか思えない…。

 何度も電話しているのに、向日葵は電話に出ようとしない。

 『こんな終わり方俺は納得できない…。』

 一言メッセージを入れた俺は居ても立っても居られないいられなくなり、気が付くと家を飛び出していた。

 (……直接会って話さないと納得できない。向日葵に会いたい。会って俺の本当の気持ちを伝えたい……)

 今までずっと思い続けてきた思いを打ち明けようと、俺は向日葵の家へと足を速めた。