時田君と私の秘密の契約〜毎週金曜日の秘め事〜

 〜side 時田〜

 
 小さくて可愛い子だな…。それが入社式で初めて出会った向日葵の第一印象だった。

 「向野向日葵です。私は男の人には絶対に負けません。だから、皆さん私に遠慮する事はないので、手加減せず接してください。男性だからとか、女性だからとか、私は気にせずに接していくので、そのつもりで皆さん宜しくお願いします。」

 小さくて可愛い見た目なのに、なぜか入社当初から男性陣に虚勢を張っていて、それがどうしてなのかは分からないけど、俺は入社した時からまるで一目惚れのように向日葵の事が気になっていた。

 同じ課に同期として入社したのは俺と向日葵も入れた4人で、朝倉元基《あさくらもとき》と岩橋初美《いわはしはつみ》、それに俺と向日葵の4人だった。

 向日葵は大学を卒業して直ぐに他会社に就職したことがあり、パワハラに遭ったと言う理由で退職したと同期の岩橋が言っていた。入社日が同じでも向日葵だけ所謂新卒ではなく、第二新卒としてうちの会社に入った先輩だった。
 
 新卒で勤めた会社の上司は女を差別する酷いパワハラ上司で、向日葵は精神的に追い詰められ、仕事に行けなくなってしまった経験がある。だから向日葵は男にだけは絶対に負けないといつも男を敵視するようになり、常に男の前では虚勢を張るようになってしまったのだと同期の岩橋が言っていた。

 あの小さい身体でそんな辛い経験をしてきたなんてとみんな同情のような目で向日葵を見ていた人もいたが、“同情なんてしてほしくない“が向日葵のいつもの口癖だった。

 俺たち同期の4人はたまに一緒に飲みにいく事はあったけど、基本的に向日葵と俺が2人で連絡を取り合ったり、飲みにいく事はなくて、職場の同僚という以外には取り留めて接点もないまま、年数だけが過ぎていた。