時田君と私の秘密の契約〜毎週金曜日の秘め事〜

 季節は春を迎えていた。桜の季節も目前だが、まだ寒い日も続き、桜の開花は程遠い3月の季節を迎えていた。私と一樹は相変わらず毎週金曜日には必ず会う秘密の関係を続けている。
 
 一樹が家にお見舞いに来てくれた日を堺に、私達の間にあったよそよそしさや、素直になれないツンツンとした壁のようなものがなくなり、お互いの気持ちを何でも言い合える素直な関係へと発展していた。

 ただ一つ気になることは、私達の間にまだ金曜日は性的欲求を満たす日であるという契約があるという事だ。もう私達の間には性的欲求を満たすだけではないお互いを必要とする気持ちが芽生えており、身体だけの関係ではない事は本人達が一番よく分かっていた。

 だけどその契約を終わらせ、普通に恋人同士として付き合おうとお互いに中々言い出せず、ただお互いに会いたいから会っていると言うだけの私達は、何となく普通に付き合おうと言い出せないもどかしい日々を送っていた。

 『今日行くね。夕飯何か食べたいものある⁇』

 『待ってる。向日葵特製のカレーが食べたい。』

 『了解。材料買って帰るね。』

 『うん。気をつけて来てね。』

 どこからどう見ても半同棲カップル⁇普通の恋人同士のやり取りにしか見えない私達は、もう身体の関係だけではない事は明白だ。それなのに何となくお互いに言い出せず、もう秘密の契約は解消して普通に付き合おうと言えない私達は、お互いただただ臆病なだけだった。
 
 でも、今日こそはちゃんと一樹に普通に付き合おうと言うんだと決心し、私の唯一の得意料理でるカレーを作ったら想いを打ち明けようと心に決めていた。