君が流した涙の数


口数の少ない女の子だ。

どこか、庇護欲をかき立てるような、小動物みたいな女の子。


プリントをまとめる作業は終わり、2人で手分けして職員室へ。

再び教室に戻り、リュックとスクールバッグを持って帰ることになる。

方向が一緒なようだ。

だけど、瞳ちゃんは早足で俺の横から離れて帰宅しようとした。


「ちょっ、どうしたの?」

「誰に見られてるか分からないから」

「…え?」

「さようなら」


もう、話しかけないでくれ。

そういう意味に聞こえた。


翌朝、瞳ちゃんを見かけた。

意を決して、


「おはよう」


と声をかけてみた。

振り向いた彼女は、どこか怯えた目をしていた。


「おはよ」


とだけ俺に返して、走り去ってしまった。

避けられてる…?

昨日の放課後だけの仲なのかな…。

それをなんで、俺は…悲しんでるんだ。

生まれた庇護欲が、恋愛と勘違いしてるだけか。

それだけだ。


その日の放課後。

人気の少ない外廊下を歩いていると、座り込んで泣いている瞳ちゃんがいる。


「瞳ちゃん?」


前に回って、しゃがみこんだ。

頭をゆっくり撫でてみた。