フラワーリング

ブライダルフェアは無事に終わった。

ありがたいことに、新作のアクセサリーも何組かのお客様に気に入っていただき、次の打ち合わせの約束も決まった。

今日もいい一日だった。

そう思う。

……思うのに。

「長い指だったな」

アトリエへ戻る電車の窓に映る自分を見ながら、小さく呟く。

仕事中も、帰り際も。

気付けば何度も思い出してしまう。

花に触れるたび、優しく動いていたあの指先。

決して綺麗とは言えない。

小さな傷がいくつも残っていた。

それなのに、あんなにも目を奪われたのは初めてだった。

「……重症だ」

思わず苦笑いがこぼれる。

昔からの癖とはいえ、今日の私は少しおかしかった。