一夜のあと、君に溺れる

夜遅く、大ちゃんから電話がかかってきた。私はすっかり寝る準備万端で、ベッドの中。お互い仕事の時間が違うと、離れていることがこんなにももどかしく感じるものなんだと思い知らされている。

『お見合いしたって?』

ひどく慌てた大ちゃんの声に、ほうっと気持ちが落ち着いていく。慌ててくれるなんて、私のことを想ってくれているからに他ならない。

「父に連れられて無理やりだったの。ごめんね」

『いや、そんな時にすぐ駆けつけられなくてごめん』

「ううん、大丈夫。大ちゃんだって忙しいもの」

『早く、さーちゃんのご両親に挨拶に行かないと』

「そうね。でも私、今すぐにでも大ちゃんに会いたい」

『今から迎えに行こうか?』

「ううん、大ちゃん疲れてるでしょ。それに私、もうパジャマなのよ」

会いたいけど、いつもいつもわがままを言ってはいけない。大ちゃんだって仕事が終わったばかりだし、明日も仕事があるんだもの。だからこそ、やっぱり同棲に憧れてしまう。一緒に住んでいたら、すぐに顔が見られるのに。

『さーちゃん、ビデオ通話しようか?』

「ビデオ通話?」

『そう、メニューで切り替えられるから』

大ちゃんに言われるまま、スマホのメニューをタップする。パッと画面が切り替わり、画面いっぱいに大ちゃんの映像が映し出された。

「……大ちゃんの顔見たらやっぱり会いたくなっちゃった」

『俺もそう思ったよ』

二人で顔を見合わせてふふっと笑う。電話越しでも気持ちが通じるのって嬉しい。言葉の向こうに大ちゃんの気持ちが確かに伝わってきて、胸がじんわりと満たされた。

『パジャマ姿のさーちゃんも可愛いね』

「もうすっぴんなんだけど」

『うん、世界一可愛い。今すぐ抱きしめたい』

「じゃあ次に会うとき、いっぱいぎゅってして」

『ぎゅーだけじゃ終わらないかも』

「ちゅーも?」

『それ以上もね』

くすっと含みのある笑顔に、急に体の奥のほうが疼いてくる。あれやこれや妄想してしまった自分が恥ずかしい。でも、うずうずともどかしくて、どうしようもなくなる。

「……いっぱいしてくれなきゃ嫌よ」

『ははっ、満足してもらえるように頑張りますよ』

優しい笑みを浮かべた大ちゃんはとんでもなく色っぽく映って、またしても胸がきゅんと疼いた。大ちゃんと会話をするだけで満たされた気持ちになる。なんて幸せなことだろう。