行くしかないのだろうか。行かない選択肢はないのだろうか。理事長室を出てからも、ロッカーで着替えるときも、ずっとその事を考えていた。
病院を出るとすでに父が待っていて、「行くぞ」と有無を言わせぬ物言いで歩き出す。
「お父さん、あの――」
「ああ、そうだ。高崎くんとは現地で落ち合うことになっているよ。ずいぶんとお前のことを気に入っている様子だ」
「私は気に入らないわ」
「そうか。だが高崎くんは優秀な医師だぞ。急性期病院で経験を積んだそうだ。高い判断力やハイレベルな医療知識を持ち合わせている、実に頼もしいじゃないか」
「ええ、それは素晴らしいと思うけど……」
高崎先生のキャリア的には、父の理想とするところなのだろう。医師としての高崎先生を評価することは何ら問題ないけれど、でもこれから行われるのは、食事会という名のお見合いなのだ。いくら高崎先生が私のことを気に入っているとしても、私の方が乗り気じゃないのだからお断り一択だと思うのだけど。
それでも、とりあえずは父に付き合うしかないのだろう。せっかく私のために探してくれたお見合い相手を無碍にすることも憚られるし。何もせず断るのは、父にも高崎先生にも失礼なのかもしれない。食事だけして、やっぱり無理ですって断ればいいのよね。高崎先生も悪い人ではなさそうだし。
モヤモヤした気持ちを抱えながらも、父の車に揺られる。私は一体何をしているんだろうと思うと、とたんに大ちゃんへの罪悪感で胸が潰れそうになった。
これって、大ちゃんへきちんと伝えた方がいいのよね?
スマホを取り出し、メッセージ画面を表示させる。大ちゃんは仕事中だからメッセージだけでも入れておくべきだ。でもお見合いだなんて伝えたら、大ちゃんはどう思うだろう。嫌われちゃうかな。嫌われたくないよ……。
病院を出るとすでに父が待っていて、「行くぞ」と有無を言わせぬ物言いで歩き出す。
「お父さん、あの――」
「ああ、そうだ。高崎くんとは現地で落ち合うことになっているよ。ずいぶんとお前のことを気に入っている様子だ」
「私は気に入らないわ」
「そうか。だが高崎くんは優秀な医師だぞ。急性期病院で経験を積んだそうだ。高い判断力やハイレベルな医療知識を持ち合わせている、実に頼もしいじゃないか」
「ええ、それは素晴らしいと思うけど……」
高崎先生のキャリア的には、父の理想とするところなのだろう。医師としての高崎先生を評価することは何ら問題ないけれど、でもこれから行われるのは、食事会という名のお見合いなのだ。いくら高崎先生が私のことを気に入っているとしても、私の方が乗り気じゃないのだからお断り一択だと思うのだけど。
それでも、とりあえずは父に付き合うしかないのだろう。せっかく私のために探してくれたお見合い相手を無碍にすることも憚られるし。何もせず断るのは、父にも高崎先生にも失礼なのかもしれない。食事だけして、やっぱり無理ですって断ればいいのよね。高崎先生も悪い人ではなさそうだし。
モヤモヤした気持ちを抱えながらも、父の車に揺られる。私は一体何をしているんだろうと思うと、とたんに大ちゃんへの罪悪感で胸が潰れそうになった。
これって、大ちゃんへきちんと伝えた方がいいのよね?
スマホを取り出し、メッセージ画面を表示させる。大ちゃんは仕事中だからメッセージだけでも入れておくべきだ。でもお見合いだなんて伝えたら、大ちゃんはどう思うだろう。嫌われちゃうかな。嫌われたくないよ……。



