一夜のあと、君に溺れる

「まさか、まさかだった」

「どこでどうなって、そうなんですか!」

「そうよね、私も、どうしてそうなったのかわからないけど……」

そう、きっかけは「ワンナイトしたい」って我がまま言ったからなんだけど。でも私もそこから大ちゃんを好きになるなんて、全く思っていなかった。

「人生って何が起こるのかわからないわね」

「何でそこで悟りモードなんですか」

「ありがたや~」

「杏子さん、拝まない!」

私に向かって合掌し始めた杏子さんに、すかさずツッコミが入る。

「人を好きになるって素敵なことだったのね。この気持ちを教えてくれた大ちゃんに、すっごく感謝してるし、私の背中を押してくれたみんなにも、すっごく感謝してるの。本当にありがとう」

一人で考えていたら、何も始まらなかったと思う。優しいみんながいてくれたから、ちゃんと自分の感情に向き合えたし、今こうして幸せだと思えるんだろう。

「桜子さん、すっごく幸せそう」

「良い人に出会えましたね、桜子さん」

「桜子さん見てると、こっちまで幸せになる」

「ふふ、ありがとう」

幸せな気持ちを共有して、一緒に喜んでもらえるのって嬉しい。みんな大ちゃんの人柄もよく知っているから、きっとそれもあって余計にお祝いしてくれているのよね。なんてありがたいんだろう。

「あ、じゃあサイゼリヤに連れて行ってくれたのも大ちゃんだったんだ?」

「そうなの。初サイゼリヤ」

「なーんだ、大ちゃんなら安心安心」

「いいなー、羨ましいー」

「心和ちゃんは佐々木先生がいるでしょー」

「桜子さんの幸せオーラがすごすぎて、もう私の胸は張り裂けんばかりにキュンキュンしてるんですよっ」

「そうね、私もAEDを探してしまうくらい、胸がキュンキュンしてる」

「私にAEDを〜!」

「あはは!」

「はい、杏子さんだけ余裕の笑み。既婚者は違うわ」

いつも通り、みんな言いたい放題だ。でもそれが私たちで、そんな雰囲気がとても楽しい。