一夜のあと、君に溺れる

大ちゃんとお付き合いを始めて、毎日が楽しくなった。お互い不定期な仕事をしているから、そんなに頻繁に会えるわけじゃないけど、欠かさず連絡は取っているし、声が聞けるだけでも嬉しい。

そんな喜びが自分の身に起こるなんて思いもよらなかったから、この幸せな気持ちをどこかに吐き出したくてうずうずしている。

仕事の休憩時間中にバッタリ出会った千里ちゃんに、「女子会がしたいの」と訴えてしまったほど。

「よし、しましょう」

千里ちゃんが手際よくグループメッセージでみんなの日程を合わせてくれて、お店の予約まで完璧にこなしてくれた。

「根掘り葉掘り聞きますからね。あー楽しみだなぁ」

千里ちゃんに揶揄われて、思わず頬が熱くなる。聞いてほしくて女子会をするのに、何だか恥ずかしいだなんて、どういうことなの……。

「桜子さん乙女すぎません?」

「自分でも、そう思ってる」

「くはー! また私を灰にしようとしてるんだから」

「だって、こんな気持ち初めてなんだもの」

「ストップ、ストーップ! みんなで聞きますから、ちょっとまだ話さないで。今週の金曜ですからね、よろしく」

「わかったわ。千里ちゃんありがとう」

そわそわうずうずしながらスタッフステーションに戻ると、仕事がたんまり待ち受けていた。その日はそれ以降仕事に忙殺されて、大ちゃんのことを考えることもなかった。まるで浮かれている私を戒められているようだ。

それでも――

「御堂さん、今日はすごく頑張ったわね。患者さんのご家族からも感謝の言葉をもらったわよ」

いつも仕事に対して厳しい看護師長に褒められて、ほっと肩の荷が下りた。看護師の仕事は好きだけど、体力面や精神面できついときがある。特に忙しいときはそう感じることが多い。それでも、いつも以上の力が発揮できたのなら、きっと今は私の心が上向きだからなんだと思う。