一夜のあと、君に溺れる

そんなことを、仕事が終わってからさーちゃんに電話で話したら、大爆笑された。

『宮越家には何度もお邪魔させてもらっているもの。そのテンションについて行く自信はあるわ』

何度もお邪魔とは、姉がよくさーちゃんたちを家に連れてきていたからだ。その頃からの知り合いだと思うと、なんだか感慨深くなった。

俺はもう、ずいぶん前からさーちゃんのことを知っていたのに、今までずっとその魅力に気づいていなかったなんて。でも、このタイミングだったから好きになったのかもしれないし、やっぱり人生は何が起きるかわからない。

「今度さーちゃんのご両親にも挨拶させてもらっていい?」

『……いいの?』

「いいもなにも、俺はさーちゃんのこと真剣なんだよ。だからきちんと挨拶したい」

『うん、嬉しい』

電話越しでもわかる、さーちゃんの柔らかな笑顔。ほんわかした雰囲気に、癒やされていく。

あー、幸せだ。

自然と思えることに喜びを感じた。そうやって思わせてくれるさーちゃんは凄い。

始まりはまさかだったけど、さーちゃんのことを好きになってよかった。知れば知るほど好きになっていく。

「ねえ、さーちゃん」

『なに?』

「好きだよ」

『私も、大好き。早く会いたいなって思ってる』

「俺もそうだよ。もう、一緒に住みたいくらい」

ぽろっとこぼれた言葉に、はっとなる。一緒に住みたいと思うくらい、さーちゃんのことが好きなんだと再認識した。

だけど電話の向こうのさーちゃんは黙りこくっている。まだ付き合い始めて日が浅いのに、なんてことを言い出すんだと引かれたのかもしれない。

「ご、ごめん、さーちゃん。まだご両親に挨拶もしてないのにそんなこと――」

『同棲? それって同棲ってことよね? 私、憧れていたの。うわあ、素敵』

「……え、本当に、する?」

『する!』

俺は侮っていた。
さーちゃんの好奇心の強さを。

でもまあ、嬉しいからよしとする。
相変わらずさーちゃんは可愛いな。