一夜のあと、君に溺れる

空港にあるホテルは、客室の窓から滑走路が見える。スカイデッキよりは遠いけれど、高さがあるぶん、誘導灯の煌めきが宝石のように見えた。

「夜の空港ってこんなにも綺麗なんだね。連れてきてくれてありがとう」

「今度は飛行機に乗って、どこかに行きたいですね」

「わ、それ素敵」

大ちゃんと一緒に飛行機に乗って、旅行することを想像する。どこに行こう。大ちゃんとならどこでもいいかな。絶対楽しいに決まっているもの。

幸せな気持ちに、顔がヘラっと緩む。大ちゃんを好きになることが、こんなにも心満たされるものだとは思わなかった。何でもなかった日常が、色づいていく感じ。

コテンとベッドへ押し倒された。といっても、背と頭を支えられて、すごく優しく。大ちゃんの瞳が熱を孕みながら揺れる。その瞳に吸い込まれそう。

「あのとき、さーちゃんとワンナイトしてよかったなって思う」

「私がワンナイトしたいって言ったから、無理やり好きになってくれた?」

「きっかけはワンナイトだったってだけ。さーちゃんのことを知ったら、好き一択でしょ」

「ちょっと罪悪感があったの」

「そんなの感じる必要ないです。俺がさーちゃんを好きになった。ただそれだけなんですよ」

頬を包まれて優しいキスが降ってくる。
なんて愛おしいんだろう。

「大ちゃん、ときどき敬語だね」

「ん……まあ、そのうちなくなると思います」

「敬語の大ちゃんも好き」

「じゃあ時々は敬語にする」

「ふふっ、何それ」

「さーちゃんを翻弄したいんですよ」

「もう翻弄されてる――」

少しずつ、肌があらわになっていく。
甘くて官能的な吐息が漏れた。

もっと触れ合いたい。大ちゃんを感じたい。
もっともっとと欲張りになる。

通じ合った心と体は、静かに寄り添いながら夜の帳に包まれていく。
言葉なんていらない。
ぬくもりと鼓動が、お互いの存在を確かめ合うように交わっていった。