一夜のあと、君に溺れる

「抱きしめてもいい?」

「抱きしめられたい」

腕を広げてくれる大ちゃんの胸に、そっと頬を寄せる。ぎゅうっと抱きしめてくれる強さが、あったかくて心地良い。このまま大ちゃんの中に溶け込みたい。ひとつになりたい。

「さーちゃん」

「うん」

「好きだよ」

「私も、大好き」

ふっと顔を上げた瞬間、大ちゃんの影が落ちてきた。髪に優しく指が差し込まれる。頭を抱えられながらするキスはとても甘くて、幸せで溶けてしまいそう。

気持ちが通じるって、こんなにも世界が柔らかくなることなんだ。胸の奥で揺れていた不安が、そっとほどけていくのを感じる。人を好きになることって、なんて偉大で尊いことなんだろう。

「帰したくないけど」

「帰りたくないよ?」

「明日仕事じゃないの?」

「朝から仕事だよ。大ちゃんは?」

「もちろん仕事ですよ。でもさーちゃんと一緒にいたいな」

「イチャイチャ?」

「そう、イチャイチャしたい」

「じゃあ、しよ?」

私から、ぎゅっと手を握る。ワンナイトのときとは違う、胸のドキドキ。憧れとかじゃなくて、大ちゃんとしたいからする。それが「好き」ってことなのよね。

繋いだ手はそのままに、大ちゃんの腕に絡まるようにぎゅっと体をくっつける。そんな事ができるのも、ちゃんと「好き」って伝えたからなんだろう。

「はー。もう、さーちゃんって可愛すぎない?」

「可愛いって、いっぱい言われたいの」

「世界一可愛い。可愛くてたまらない」

言葉ひとつ、仕草ひとつ。
ほんの少し違っていたなら、今とは違う景色が広がっていたのかもしれない。でも、私はここに辿り着いた。

実花さんじゃない、私が大ちゃんの隣に立つの。
誰にも譲らないから……。