一夜のあと、君に溺れる

「どどどどどうしよう、どうしたらいいの、杏子さん」

ガシッと杏子さんの両手を掴む。何かアドバイスが欲しい。そう思ったのに、杏子さんは目にうっすら涙を浮かべて微笑んだ。

「そうやって悩むのは、その気持ちが本物だからだと思うよ。大ちゃんのこと好きになってくれてありがとね」

「杏子さん……」

「あー、おばちゃんいい話聞いちゃったわぁ。唐揚げ1個おまけしとくわねぇ。ほほほ」

ぐすっと鼻をすすりながら、杏子さんは唐揚げをお弁当と一緒に入れてくれた。そのキャラは何なの……と思いつつも、杏子さんの優しさに胸がジンとなる。

「誰かを好きになるって素敵なことだよね。桜子さんの気持ち、ぜひ伝えてあげて。言葉にしなきゃ伝わらないよ」

「……言えるかしら?」

「言えるよぉ。それだけ実花ちゃんに嫉妬してるんだから、言えなきゃ困るでしょ」

「唐揚げ食べて頑張るわ」

お弁当と唐揚げを引っ提げて、病院へ戻る。

実花さんのことを聞きたかったのに、結局杏子さんに背中を押してもらった感じになってしまったけれど、幾分か心はスッキリしている。私の中の大ちゃんへの気持ちがはっきりしたからかもしれない。

大ちゃんは私とワンナイトしちゃったから、きっと頑張って私のことを好きになってくれた。でも私はそんなこと関係なくて、ただ大ちゃんが好きだと思う。知れば知るほど好きになって、想いが溢れそうだもの。

好きって気持ち、すごい。

今までたくさんの男性に出会って来たけれど、一度もこんな気持ちになったことはなかった。まるで夜空で一番輝く星を見つけたみたい。

大ちゃんがいるだけで夜空が明るくなるような。
遠くにいてもちゃんと見つけられるような。
ずっと見上げていたくなるような、そんな輝く星。

『だから早く俺のこと好きになってください』

もうとっくに好きになってるよ、大ちゃん……。
ああ、大ちゃんに会いたいなぁ……。