一夜のあと、君に溺れる

「あ、誤解しないでほしいんだけど、大ちゃんが朝帰りしたって言いふらしたわけじゃないからね。うちのおばあちゃんが勝手に言いふらしてただけだから」

「ああ、おばあ様が……」

「でもまさか相手が桜子さんだとは思わなかったよ」

「う……」

「度肝抜かれるってこういうことかー」

「ああ~~!!」

まさかこんな風にバレるとは思わなかった。思わず頭を抱える。
どうしよう、めちゃくちゃ恥ずかしい。

「いいじゃんいいじゃん。大ちゃんいい子でしょー」

「……それは、ええ、とても」

「でしょー。自慢の弟よ。いつからお付き合いしてるの?」

「いえ、お付き合いはしてなくて」

「えっ? そうなの? てっきり……」

「好きなんですけど、まだ好きって言えてないです」

どうしよう、顔から火が出るほど恥ずかしい。大ちゃんに好きって言う前に、姉である杏子さんに大ちゃんのこと好きってバラシてしまったし。
両手で頬を押さえてみるも、まったく熱が引いてくれない。もう、なんなのこれ。

「でもよかったよ。桜子さん、好きって気持ちに気づいたんだね」

「……あのとき、杏子さんたちに相談したから。頭の整理ができたというか」

「それで何~、実花ちゃんのことが気になっちゃったんだ」

「だって、大ちゃんとお似合いだったから……」

「やだ、それってヤキモチ? キャー!」

ゴニョゴニョしている私とは対照的に、杏子さんはニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべる。聞く相手を間違えただろうか。でも、杏子さんしか聞く人いないし。ああ、どうしたらいいの。

「だって、実花さん、大ちゃんとよりを戻したいって言っていたんですよ」

「ほほーう、なるほどねぇ」

やばい、杏子さんのニヤニヤが止まらない。私はどんどん墓穴を掘っている気がする。ぐぬぬ。

「そうだなあ」と杏子さんは腕組みをした。