一夜のあと、君に溺れる

三人の明るさに絆されて、そういうものなのかなと心に刻む。少なくとも、今の私は大ちゃんに対して悪い気持ちはない。さっきもらったメッセージだって嬉しかった。

「……映画、楽しみ」

思わず声に出ていたらしい。
すぐにぐわっと食いつかれる。

「何ですか、映画行くんですか?」

「ちゃっかりデートの約束してるじゃないですか!」

「桜子さんに彼氏紹介してもらえるの、楽しみにしてるね」

そんなことを言うものだから、ドキッとした。相手が大ちゃんだと伝えたら、みんな驚くだろうか。まさか、だよね。

……やっぱり今はまだ、秘密にしておこう。

大ちゃんは私のことを好きだって言ってくれた。でもそれって、私がワンナイトしたいってお願いしたからなのかな?

『ワンナイトするからには、本気で桜子さんのこと落としたくなった』

大ちゃんは真面目で誠実だから、今まで好きでもなかった私のことを知ろうとしてくれたのかもしれない。だったら、申し訳なかったな。

「あー、桜子さん、絶対彼のこと考えてる」

「ほんとほんと、心ここにあらずって感じ」

「恋する乙女かー」

「えっ? いや、ちがっ……あーうーん、考えてた。頭の中、それしかないかも」

「ぐはっ」

「千里さん、気をしっかりー!」

「桜子さんのピュアな気持ちにあてられて、もう息も絶え絶えよ」

「食べよう、千里ちゃん。豚足食べるとコラーゲンでお肌プルプルだよ」

「あ、私も食べたい。お肌プルプル」

「もー、桜子さん、これ以上プルプルになってどうするのー」

「可愛くなりたいの」

「もう十分可愛い」

「ほんとほんと、今日は桜子さんが一番可愛いです」

「桜子さんが想像以上に可愛すぎて、私の心が死んだわ」

みんな好き勝手なことを言いながら、何度目かわからない乾杯をする。詳しく話すことはできなかったけれど、聞いてもらったことで少し心が軽くなったかもしれない。

この先、大ちゃんとの関係がどうなるかわからないけれど、とりあえず映画は楽しもうと思う。