一夜のあと、君に溺れる

唐辛子のスパイシーな香りが漂う韓国料理店で、マッコリ片手にカチンと乾杯をした。白く濁った甘酒のような味わいは、知っているようで知らない異国の味がする。

「桜子さんから女子会したいなんて、珍しいですね」

「ええ、ちょっと相談したいことがあって」

集まってくれたのはいつもの仲良しメンバー、杏子さんと千里ちゃんと心和ちゃん。私から女子会がしたいとお願いしたのに、何となくすぐに言い出せず、とりあえずマッコリをチビチビと味わう。

「何かあったの?」

杏子さんがスンドゥブチゲを器に取り分けながら、首を傾げる。
そう、すべてを言いたいのに、言えない。なぜなんだろう。

「ええっと、私、ついにサイゼリヤデビューを果たしたの」

「ずっと行きたいって言ってましたもんね? どうでした?」

「感動したわ。リーズナブルなのにとても美味しかった」

「へー、誰と行ったんですか?」

心和ちゃんに無邪気に聞かれて、思わず黙ってしまった。私の沈黙に、三人はぎょっと目を丸くして身を乗り出す。

「え、なになに、もしかして相談したいことってそれ系?」

「恋愛! 恋愛ですか、桜子さん!」

「桜子さんをサイゼリヤに連れて行ってくれたってこと? 騙されてませんよね?」

「……騙されてはいないと思うの」

なんて、言葉を濁す。騙すとか騙さないとか、どちらかというと先に誘ったのは私の方だ。きっかけは、私が大ちゃんにワンナイトしたいってお願いしたことだし、その流れでサイゼリヤに行っただけのこと。

大ちゃんは杏子さんの弟さん。さすがに大ちゃんとワンナイトしましたとは、言えないわよね……。なんてぐるぐると頭を巡る。言えないのに、聞いてほしい矛盾した気持ちに、どうしたらいいのか自分でもわからない。