一夜のあと、君に溺れる

そんな俺の心配な気持ちが、ワンナイトに付き合おうと決意させた。

本当に、ただ心配だっただけなんだ。だってその日の桜子さんはパーティードレスを着て、いつにも増して綺麗さを醸し出している。近くに寄ればちょっといい匂いもするし、惚れない男はいないんじゃないかというくらい、魅力的だった。

それなのに、見た目とは裏腹に無邪気にはしゃいで、終始楽しそうにする。可愛らしいことこの上ない。いつしか桜子さんのペースに乗せられて、本当の彼氏のように錯覚した。

キスをしたら思いきり照れていて、そんな顔を真っ赤にするくらい純情で大丈夫なのかとまた不安になった。

あーなんていうのかな、この気持ち。
俺が守ってやらなきゃみたいな使命感?
桜子さんが人を好きになったら、どんな顔をするんだろうという好奇心?

とにかく、こんな可愛い顔、他の誰にも見せたくないと思った。俺だけが知っていたい。俺だけに見せてほしい。

「桜子さんに、俺のこと好きになってもらいます」

「好きに……?」

「うん、だから、覚悟してくださいね」

そう言ったら、困ったような顔をしていた。もうその時点で、俺は桜子さんにどっぷりとハマっていたのだ。どんな表情も、可愛くて仕方ない。

ベッドの中なんて、もう可愛いが過ぎる。今までのお見合いの相手よ、よくぞ断ってくれたとしか思えないくらい、可愛くてたまらなかった。

翌日のサイゼリヤもゲームセンターも、桜子さんといるとめちゃくちゃ楽しくて、確実に桜子さんのことを好きになっているなと自覚してしまった。

こんな風に人を好きになることが初めてで、きっかけってわからないものだなと妙に感心したものだ。

だからちゃんと伝えた。

「俺、桜子さんのこと好きです」

自分の気持ちを伝えたことにスッキリした俺だけど、桜子さんは宇宙猫のような顔をしていた。どうやら困らせてしまったらしい。