一夜のあと、君に溺れる

ゲームが終わる頃にはしっとり汗をかいていた。久しぶりにこんなに運動したかも。病院で患者さんを介助するのとは違う筋肉を使うみたい。

「俺の勝ちですね」

「あーん、負けた! ちょっとは手加減してよ」

「もう一回やります?」

「やる。リベンジよ!」

コインを入れてボールが転がってくる。大ちゃんがシュート体勢になったところ、脇腹をちょんと突っついた。体勢を崩した大ちゃんが投げたボールは、ゴールから大きく外れる。

「ちょ、ずるっ」

「えへへ。今のうち!」

ガッコンガッコン派手な音を立てながら、真剣にゴールを狙った。ときどき、大ちゃんの脇腹を突きながら……。なのに、結果は私の負け。

「あーん、悔しい!」

「じゃあ次はエアホッケーで勝負します?」

「エアホッケー?」

「やったことない?」

「うん」

「結構面白いですよ」

「やるわ!」

気合いを入れるために髪をひとつに縛る。大ちゃんに教えてもらいながら真剣にエアホッケーをプレイし、ものすごい運動量を消費した。

「大丈夫?」

「うん、大疲労。でもすっごく楽しかった」

サーティワンのイートインスペースで、ぐったりと腰を下ろす。3つのフレーバーが入ったカップが目の前に置かれた。

「はい、半分こ」

「私が負けたのに買ってくれたの?」

「まあ、健闘賞ってことで」

「いただきます。……ん~美味しい~!」

疲れた体に染みわたっていくアイスの冷たさと甘さ。ゲームセンターがあんなに体力を使う場所だとは思わなかった。でも、大ちゃんと来れて、楽しかったな。

「大ちゃん、食べないの?」

「ん? アイス食べてる桜子さんも可愛いなーって見てただけ」

「ゲホッ!」

「可愛いって言うとすぐ照れますね」

「どういう反応をすればいいのかわからないもの」

本当にもう、大ちゃんったら事あるごとに私のことを「可愛い」だなんて言うんだから。嬉しいより恥ずかしいが勝ってしまう。