一夜のあと、君に溺れる

「ねえ、今日がデートなら、この後もどこか行きません?」

「え、どこに?」

「それはこれから考える」

「いいの?」

「俺が誘ってるんですよ。それに、今日も俺は桜子さんの彼氏でしょ?」

「彼氏……素敵な響き」

「行きたいところあります?」

「どこでもいいの?」

「もちろん」

「じゃあ――」

サイゼリヤでおしゃべりももちろん楽しかったけれど、行きたいところがあるかと聞かれれば、ここしかない。

ザワザワと賑やかで照明がキラキラ眩しい。一度来てみたかった、ゲームセンター。両親が厳しかったことと、意外と真面目な性格だったことも相まって、実は行ったことがない。でもちょっと憧れていた場所。

「すごい! 100円でぬいぐるみが取れるの?」

「まさか。いくらか使ってようやく取れるかどうかですよ」

「でもやってみたい」

「桜子さんのお手並み拝見ですね」

他の人がやっているのをお手本にしながら、レバーをカタカタ動かす。何度も微調整をしていたら、あっという間に時間切れになってしまった。

アームが下りてきてぬいぐるみをガシッと掴む。上まで持ち上げたらアームがグラグラ揺れて、ポロッとぬいぐるみがこぼれ落ちた。

「あー! 持ち上がったのにぃ」

「惜しかったですね。でも落ちた弾みで出口に引っかかってるから、ワンチャンいけるかも」

「ほんと? もう一回やってみるね」

コインを入れてレバーをカチャカチャ動かす。微調整が難しい。

「これくらい? どうかな?」

「うーん、もうちょい左かなあ?」

レバーを持っている右手に、大ちゃんの右手が重ねられる。キュッキュッと小さな動きで私の手ごとレバーが動かされた。

……なんか、ちょっぴり恥ずかしい。大ちゃんったら、そういうの平気なのかしら。ちらりと大ちゃんに視線を送ると、すぐに目が合う。しかも距離がものすごく近くて、ドキンと心臓が跳ねた。