殺し屋のご飯

 んんっ。

 おいしーいっ!

 今の冷凍スパゲッティってここまで進化してるの?

 わたしの前にあるのは、ミートソーススパゲッティ。

 ふわふわと音を立てそうなほど白くてゆらゆらした湯気。

 そしてなんと言っても、食感!
 わたしは、ソーセージのグニッっていう感覚が好き。
 それとトマトソースの味がうまく絡み合って本当に美味しい。

 目の前では、深月が感動して目をキラキラさせている。

 「うんまっ!俺の作った料理よりもうまいんじゃね?」

 多分それはない。
 
 ニヤリ。
 深月の口元が少し上がった。

 そう笑った直後、深月のキラキラが増えた。

 「せっかくだし、僕と恋人っぽいこと、しない?」

 まままままま待って⁉︎
 ここ家だよ?
 なんで王子様モードになってるの?

 「あーん」

 深月の手に持ったフォークに絡まったスパゲッティがわたしに近づいてくる。

 絶対わたしで遊んでるよね⁉︎
 そう思ったが誘惑に負け、口を開いたところで、
 そのスパゲッティは、百八十度の方向転換。

 深月の口へ、美味しそうな匂いを纏うものは入っていった。

 「あぁぁっ。うまいなぁ……」

 深月は目を閉じて幸せそうにする。

 「……流れっていうものがあるでしょ」

 「騙されたお前が悪いっつーの!」

 わたしは、恥ずかしさと、少しのキュンと、怒りで顔が真っ赤になる。
 顔が熱い。

 「……可愛いわぁ、俺の彼女って」

 ツボりながら言われると、おかしな気持ちにしかならないのですが……?

 「ありがとう。俺の彼女で、『相棒』でいてくれて!」

 驚きすぎて、声が出ない。

 「テンパってるー!」

 「ありがとうって言おうと思ってたけどやーめた。でも、ありがとう……」

 「結局言ってるじゃん!」

 楽しい笑い声が響く。

 きっと、わたしと日野くんと深月なら。

 生きて帰れるよね!
 仕事、頑張ろう!