殺し屋のご飯

 次は、ハサミの使い方の訓練をしますっ!

 別に、ちょきちょき切る方じゃないよ?
 
 ハサミでの戦い方を学ぶ。

 殺し屋は銃やナイフを常に持っているわけじゃない。
 もしも、カバンの中に入っているのを見られたら……?
 使わないのに持っているなんて、危ない。

 だから、常に持っておけるような攻撃できるものをカバンに入れておく。
 それがハサミだ。

 まぁ、カッターもあるけれど、今はハサミの使い方を学んでいる。

 やり方の説明をすると、日野くんが、挑戦し始めた。

 でも手こずっていそう。

 グッと日野くんが、青色のハサミを前に刃を向けて出す。

 「うーん、日野くん。使い方が違うかも。ちょっと、僕にハサミ貸してくれない?」

 日野くんは胸ポケットから別の赤色のハサミを取り出して、深月に手渡した。

 「ありがと」

 赤色のハサミを、深月は手に取り、日野くんとは比べ物にならないほどの速さで動いた。

 ふわっ
 わたしの髪の毛が揺れる。

 わたしのことを狙ってきた深月の腕を強く掴む。
 ハサミがお腹に刺さるすんでのところで止まった。

 「わたしを本気で狙うのやめてよ。もうっ」

 「夕凪さんの腕が鈍っていたら、僕が自分で止めるつもりだったから」

 「でもさぁ、今の本気だったでしょ。というか、いつも同じパターンすぎるんだよ、深月は。」

 隣で、日野くんがポカーンってしてる。

 「……ゆっ、夕凪さん……っ。あんなに、早い攻撃、止めたんですかっ……⁉︎」

 コーフンしたような、日野くんの声が聞こえた。

 「朝陽さんって、この学校の実技試験……っ、学年二位……ですよね?」

 「まぁ、そうだね。でも、夕凪さんは、学年……というか、学校一位だから」

 「すっごいじゃないですかっ!」

 「ありがとう……?」

 褒められたことがあまりないわたしは、めちゃくちゃ反応に困る。

 「教えてくださいっ!夕凪さんっ!」

 「わたしじゃうまく教えられないかもだけど……。わたしで、よければ」

 結局、練習は朝日が昇る頃まで続いた。