殺し屋のご飯

 ジジッ。
 テレビが勝手に起動される。

 そんな時は、何かしら、わたしたちより上の人が任務を託すときだ。

 画面には何も映らない。
 だが、音が流れた。

 ザ……ザザザッ『お二人さんに任務だ』

 唐突にしわがれた声が聞こえた。

 『今回の任務は、悪の組織パンドラの解体だ。
そこで、盗まれた、わたしたちの秘密文書を取り返してきてほしい。
パンドラは、ただのヤンキー集団だ。
彼らは、殺しを仕事としていない。だから、死人は出来る限り出さないでくれ。あいつらにも……未来があるから。
頑張ってくれたまえ。詳しいことは、そこのスマートフォンで送るからまっていてくれ』

 なんで最初からスマホで送らなかったんだよ。
 心の中で突っ込む。

 『やっぱ雰囲気に合わせといた方がいいかと思ってぇ♡』

 妙に楽しそうな声が聞こえた。

 「なんで、わたしの考えたことがわかるんです?」

 嫌味も含めて、少しテレビを睨んだ。

 『え?思いっきり顔に出てたよ』

 カサカサとした笑い声が聞こえた。
 ……かなりキャラ崩壊が激しい。

 「はいはい、そうですか」

 では、とわたしは強制的にテレビを消した。

 するとすぐに、スマホが震えた。
 内容を確認する。

 件名 秘密文書取り返し計画
 目的 秘密文書を取り返して、日本の平和を守る。
 場所 〇〇県〇〇市の廃墟
 その他
 人数は、何百人か。
 ボスの素顔はわからないため、警戒し、備えておくように。
 もし、想定外のことがあったとしたら、すぐに帰ってこい。
 インカムを支給しておく。
 ちなみに一人、新入りの殺し屋が二人と一緒に行動することになったから。
 名前は、日野心(ひのしん)だ。
 生きろよ。

 「……一夜。今回のやつ、ガチだ。珍しく」

 小さな、けれどよく通る声が聞こえる。

 「俺とお前で、しっかり作戦を立てておくべきだと思う」

 「そうだね。大切なものを失わないためにも」

 ……もう、何も失わない……っ!
 真夜中の空は、眩しすぎる月で星の瞬きが見えなくなってしまっていた。