年下幼馴染はおててに夢中

「会えない?」

  ある日のお昼休憩中。お気に入りの漫画をスマホで見ていると、幼馴染の辰彦(たつひこ)から急にメッセージが送られてきた。
  最後にやり取りしたのは三ヶ月前。卒業祝いに家族ぐるみでご飯に行った時以来だった。

「どうしたの、急に。いつ?」

  と送ると、すぐに既読がついて入力中のコマンドがでてきた。辰彦も昼休憩中なのだろうか。

「今日にでも。とにかく会いたい」
「⋯⋯」

  辰彦が自分の事を好きなのは、知っていた。高校生の時に告白されたから。
  でもその時二つ上の先輩と付き合っていて、辰彦の気持ちに応えることは出来なかった。後に辰彦との距離が近すぎとフラれたわけだが。

  まだ、自分のことを好きでいてくれてるのだろうか。
  もう告白されてから何年も経つのに。
  答えのないことを考えながら、結はなんて返すか迷った末に送信ボタンを押した。

「明日は? 何も予定ないし、駅前のカフェで新作のドーナツでたみたいだから、行きたい」

  またすぐに既読がつく。
  早さからしておそらくチャットルームを開きっぱなしなのだろう。

「わかった。明日十時に迎えに行っていい?」

  自宅から駅までは離れてるし、駅と愛生の方向は反対なのにわざわざ迎えに来ようとしてる。
  世間一般的にいう「スパダリ」の分類であろうに、辰彦に彼女が出来たなんて噂は聞いたこともなかった。
  もしや、そんな類の報告だろうか。
  妙に焦る様なへんな気持ちを抱えたまま、結はOKのスタンプで返信しておいた