再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~

「このピン、覚えてるか?」

「私の、だよね」

確認するように聞くと、テツは頷いた。
この桜のピンは、私が小学校の卒業式のときに付けていた物だ。
テツの暴言を聞いた瞬間、ムカついて衝動のまま投げつけたので、なくなったと思っていた。

「本当にごめん。あんなことを言って、美桜を傷付けるつもりはなかったんだ」

テツは申し訳なさそうに謝罪する。

「あの日、美桜がいつもと違う髪型をしてきてただろ。クラスの男どもが可愛いって騒いでたんだ。美桜の可愛さは俺だけが知っていればいいのに……って思ったら、ムカついて心にもないことを言ってしまった」

バツが悪そうに目を伏せる。

私はサラリと言われた言葉に、耳を疑った。
テツがそんな風に私のことを思っていたなんて知らなかった。

「あれは完全な八つ当たりだ。言ってしまった言葉は取り消せないから、謝らないといけないのは分かっていた。でも……美桜と向き合うことが怖かった」

テツは少し視線を落とす。

「時が経てば、そのうち謝れると思っていた。でも、中学一年の夏に美桜が引っ越してしまって、それが叶わなくなった」

小さく息を吐き、言葉を続ける。

「謝るチャンスはいくらでもあったのに、結局できなくて後悔した。願掛けみたいなもんだけど、このピンを持っていれば、いつか会えるかもしれないと思って……大事にしてたんだ」

テツは桜のピンを手に取ると、私の方へと差し出した。